遺言書の作成をお勧めする理由
誰もが自分が亡くなる時のことなんて想像したくないはずです。しかし自分が亡くなった後に自分の大切な子供や兄弟が争う事になる状況はもっと考えたくないことでしょう。 相続人が複数人いて、争いが予想される場合には必ず遺言書の作成をしてお気持ちを伝える事が重要です。
遺言書の作成が必須な方、作成をお勧めする方
- 子供がないおふたりさまの夫婦
- 相続人がいないおひとりさまの方
- 家業の後継者を指定したい場合(事業承継)
- ほとんどの相続財産が住んでいる土地、建物のみの場合
- 二世帯住宅に住んでいる方
- 内縁関係の方
- 内縁関係の場合は相手が亡くなってしまった場合は
- 認知していない子を認知したい場合
- 相続人以外の特定の方に遺贈したい場合
- 財産を相続させたくない相続人がいる場合
- 行方不明の相続人がいる場
でも安易な遺言書の作成はトラブルの元
遺言書を作成する事が必ずしもいい結果を生むわけではありません。 遺言書の内容が独りよがりになる可能性もあり、残されたそれぞれの子供たちが望む形でない場合は、兄弟間の争いの元となるケースも少なくありません。
残される家族の円満を望んで作成したはずの遺言書が残された家族の気持ちを傷つける事もありうるのです。 遺言書を作成する場合は残された家族の気持ちを良く汲んで作成する事がポイントです。
遺言の原則
遺言は民法の定めた方式にしたがわなければ無効となり、共同でなく一人で行う事が原則です。 また存命中はいつでも過去の遺言を取り消す事ができます。
遺言書の種類
遺言書の種類は普通方式と特別方式(危急時遺言/難船危急時遺言、一般臨終遺言、遠隔地遺言/伝染病隔離書遺言、在船遺言等)の2つがありますがここでは一般によく使われる普通方式の3種類の自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言についてそれぞれの特徴を解説します。
■公正証書遺言 (こうせいしょうしょいごん)
遺言者から直接公証人が遺言の内容を聞き取り、公証人が書面に作成する方式です。内容の不備によって遺言が無効になることや、偽造のおそれもありません。原本は公証役場で保管され、また相続開始の際に家庭裁判所の検認も要りません。 作成の際には2人以上の証人が必要になります。
■自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)
費用もあまりかけずに最も簡単な作成できる遺言書で証人が不要です。しかし表現や内容などがあいまいな場合は遺言が無効になる事もあり、紛失や発見されないなどの保管の問題もあります。相続が開始したら自筆証書遺言は必ず家庭裁判所で検認を受けなければなりません。
*自筆証書遺言書の作り方のポイントと遺言書の書き方・文例はこちらへ
■秘密証書遺言(ひみつしょうしょいごん)
あまり利用される事は少ないようですが、遺言の内容を誰にも知られたくない場合に使われます。本人が作成し、署名、押印し、封印後にそれが秘密証書遺言であることを公証人と2人以上の証人に証明してもらわなければなりません。自筆証書遺言と同じように内容の不備で無効になる危険もあります。
遺言で指定できる事(遺言事項)
遺言書によってなんでも効力が発生する訳ではありませんが、@財産分の指定、A特定者への遺贈、B子の認知、C遺言執行者の指定などいくつかの事柄については遺言書で指定する事ができます。
当事務所がお勧めは安心で確実な公正証書遺言です。
公正証書遺言は法律の専門家の公証人が遺言者からの遺言の趣旨を聞いて作成する遺言書です。原本は公文書として公証役場に保管されますので内容不備で無効になったり、紛失、変造等の危険がない最も安心で確実な遺言の方法です。
公正証書遺言書は全国どこの公証役場でも作成する事ができ、健康上の理由などで公証役場へ行けない場合は公証人に出張してもらい作成する事もできます。
作成された遺言書の原本は公証役場で保管され、遺言者には正本が渡されます。 もし正本を紛失しても再交付が受けられます。 また作成された遺言書は検索システムに登録され、相続人が公正証書遺言書が保管されているか確認する事ができます。
遺留分(いりゅうぶん)とは
遺留分とは被相続人の兄弟を除く法定相続人が法律上取得する事が保障されている相続財産(生前贈与や遺贈も含む)の一定の割合の事です。 家族にほとんど相続財産が残らないような遺言書を残して被相続人が亡くなった場合、残された遺族の生活を守る為の規定です。
遺言執行者(いごんしっこうしゃ)とは
遺言者は遺言で1人又は数人の遺言執行者を指定することができます。指定された遺言執行者は、相続人の代理人とみなされ、相続財産の管理や遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。
揉め事が予想される場合や相続人以外の方に遺贈する場合は遺言執行者お指定しておいた方が遺産の相続がスムーズに実行できます。
因みに未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができません。
遺言書のある相続の流れ
遺言書がある場合の相続の基本的な流れは下記の通りとなります。

次項⇒円満な遺言書を作成するための6箇条 |