簡単!自分で正しい自筆証書遺言・作成の要件と作り方のポイントをわかりやすく解説

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自筆証書遺言の書き方・作り方のポイント

自筆証書遺言の要件と書き方・作り方のポイント

自筆証書遺言を作成するときは民法で定められた要件に従って作成する必要があります。要件を満たしていない場合は遺言書が無効となってしまいますので要件に従って作成しましょう。

自筆証書遺言を作成するときの要件(民法第968条)

民法第968条は平成30年に改正され平成31年1月より施行され、財産目録について自書ではなく、タイプ打ちや登記簿や銀行の通帳などのコピー添付での緩和が行われました。

民法第968条 自筆証書遺言

民法第968条
1.自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2.前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全文又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3.自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

1.遺言書の全文を自書する。(財産目録は除く)

遺言者自身が遺言の内容、日付、遺言者の署名を全て自書する事。
パソコンで作成したものや代筆してもらったものは無効です。また音声やビデオの映像での遺言も無効です。

2020年度の相続法改正により財産目録における自筆要件は緩和され、添付書面である財産目録についてはパソコン等による作成や遺言者以外の者による代筆が可能となり、不動産の登記事項証明書、預貯金通帳の写しを添付する事が可能となりました。
正し財産目録が複数の場合は財産目録の各頁に遺言者の署名、押印。記載が両面に及ぶ場合は、その両面に遺言者の署名、押印が必要となります。

2.日付を明記する事

遺言書を作成した日付を必ず自書する必要があります。
令和5年1月3日とか2022年2月4日のように正確に書きます。
令和5年年4月吉日など書く場合がありますが作成日が特定できない表現は無効となります。日付のスタンプ等も無効です。
因みに遺言書を複数作成した場合は日付の新しい遺言書が有効となります。

3.署名し押印する

戸籍通りのフルネームで書きます。また正確に人物を特定するため、名前の前に住所を入れるのが望ましいでしょう。
押印は認め印でも問題はありませんが実印がベストです。

4.加除訂正は決められ方式に従う

書き間違いの訂正や追加する場合は法律が定めた方式があり、守らないと無効となります。訂正や追加がある場合はもう一度全て書き直ししたほうがよいでしょう。

自筆証書遺言の書き方・作り方のポイント

民法で定められた要件以外の自筆証書遺言の書き方のポイントは下記のとりです。

1.自筆証書遺言書の用紙や書式は自由

自筆証書遺言書の用紙や記載内容については特段の要件はありませんが、記載内容は具体的に書き、曖昧な表現を使わないようにしましょう。。

2.財産目録は正確に記入する(自書する場合)

財産目録を自書する場合は正確に記入しましょう。不動産は登記簿通りに書きましょう。間違えると登記できない事があり、遺言通りに実行できなくなってしまいます。

1)不動産の書き方の例
1.土地
   所在:  東京都港区白金台3丁目
   地番:  ○○番○○
   地目:  宅地
   地籍:  160平方メートル
 2.自宅
   所在:  東京都港区白金台3丁目
   家屋番号:○○番○○
   種類:  居宅
   構造:  木造瓦葺2階建
   床面積: 1階110.5平方メートル
        2階80.5平方メートル

不動産の遺言書の書き方の詳細はこちら 
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2)銀行口座や証券口座の書き方
 ○○銀行中野支店に有する定期預金
  (1)定期預金 口座番号00123456789
  (2)普通口座 口座番号98765432100


預預貯金・株式・非上場株式・国債などの遺言書の書き方の詳細はこちら
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3.財産目録を自書しない場合(タイプや添付)

財産目録の形式については平成30年の法改正により緩和され、署名押印のほかには特段の定めはありませんので、書式は自由で,遺言者本人や本人以外の人がパソコン等で作成することも可能となりました。
不動産について登記事項証明書を財産目録として添付することや,預貯金について通帳の写しを添付することもできます。
いずれの場合も財産目録の各頁に遺言者が署名押印する必要がありますので,注意しましょう。

4.予備的遺言を必ず追加しておく

付言事項とは遺言者よりも相続人が先に亡くなってします事を想定して追加しておく事項です。
例えば子供(長男、事案)が二人いて、二人に平等に財産を分与するつもりでも、先に長男が亡くなったしまった場合、その長男が受け継ぐべき財産はその子供にはそのまま受け継がれるわけではありません。改めて長男の子と次男で分割協議が必要となります。法定相続割杯は長男の子は1/4となります。
 👉 予備的遺言のトラブル事例と書き方・文例はこちら

5.付言事項を追加しておく。

必須うではありませんが、遺言者の感謝の気持ちなどを追加しておきましょう。
 👉 付言事項の書き方・文例

6.遺言執行者を指定する

必須ではありませんが相続手続きをスムーズに進める為に法定相続人以外の第三者を遺言執行者に指定しておくことが望ましいでしょう 。
 👉 遺言執行者が必要なケースと書き方・文例

7.封筒に入れて封印する

法的には規定はありませんが改ざんのリスクを避ける為に自筆証書遺言書は封筒に封印して保存しましょう。確実に遺族が発見できるような場所や貸金庫などの安全な場所に保管がいいでしょう。

8.遺言書の保管は? 自筆証書遺言保管制度の利用

遺言書の保管場所は自宅や銀行の貸金庫などが考えられますが、平成30年の相続法改正により自筆証書遺言の保管制度が創設され遺言者は法務局に自己の遺言書を保管申請することができます。
法務局の遺言保管官は遺言が遺言の方式を満たしているか外形的審査を行い、データ化して管理されます。
自筆証書遺言書保管制度のメリット・デメリット
メリット
 ①遺言書の紛失・亡失のおそれがない。
 ②相続人等の利害関係者による遺言書の破棄,隠匿,改ざん等を防げる。
デメリット
 ①相続人が多数、転籍、再婚、子のない夫婦、独身の方などの場合は申請に必要な戸籍の
  収集する数が多くなり、それを読み解き、相続人を確定するにはかなりの時間がかかる。

 👉 自筆証書遺言書の保管制度についてはこちらへ

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自筆証書遺言のメリット・デメリット

自筆証書遺言のメリット

・何度でも気軽に書き直しができる。
・証人が不要で手数料や費用がかからない
・内容を誰にも知られることなく秘密にできる。
・法務局の保管制度を利用すれば、紛失・改ざんのリスクも少ない。

自筆証書遺言のデメリット

・財産目録を除き全て自書(手書き)しなければならない
・日付、署名、捺印がないと要件を満たさないので無効になる
・紛失や亡くなったのちも見つけてもらえなかったりする可能性がある
・遺言書保管制度を利用しない場合は変造、偽造や、隠匿、破棄されるリスクがある
・相続人が亡くなったときは家庭裁判所に申請し、検認を受ける必要がある。

遺言書を作成する前に知っておくべきポイント

遺言書を作成する前にする準備のポイント

遺言書を作成する前に準備や検討する事はいくつかあります。下記にまとめてみましたので参考にして下さい。

1.自分の財産を調査、整理して財産目録を作成する

自分の所有うする不動産や銀行預金、株券、投資信託等を整理し、不要なものは処分したり、使用していない銀行口座や証券口座などは解約し、整理した上で財産目録を作成しましょう。

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2.財産の配分を考える

財産を誰にどのように相続させるかは残された家族の心情をよく配慮して慎重に検討しましょう。
安易な配分は残された家族間の相続争いを必ず引き起こします。客観的に遺言書の内容を考えましょう。

3.相続人の遺留分を考慮する

被相続人の兄弟以外の法定相続人には法律で定められた遺留分があります。
相続人の遺留分を無視した遺言書は相続トラブルの原因となりますので遺留分を十分配慮して遺言内容を検討しましょう。

4.いろいろな状況を想定して予備的遺言を追加しておく

思わぬ病気や事故で、相続または遺贈する方が先に亡くなってしまう事も珍しい事ではありません。
その場合誰に相続させるのかについても十分検討しておく事が重要です。継承者が先に亡くなってしまい思わぬ方に財産が継承されてしまうケースもよくあります。

5.相続税も考慮する。

相続人が相続税の支払いに困らないように納税資金の準備も考慮し、相続税の専門家に事前に相談しておきましょう。

6.祭祀承継者を考慮する

家督相続が廃止され、お墓を守る事への責任があいまいとなっており、祭祀の承継で揉めるケースもよくありますので継承者を誰にするかも検討しましょう。

7.遺言執行者の指定

遺言内容を確実に実行したり、相続が揉めないようにする為には利害関係のない第三者の遺言執行者の指定をしておくことは重要です。

遺言で指定できる遺言事項とは

遺言書によってなんでも効力が発生する訳ではありませんが、下記の事柄については遺言書で指定する事ができます。

種類内容
相続分の指定法定相続分と異なる相続分を法定相続人に指定できる。
遺贈法定相続人以外の人に財産を贈る事ができます。
認知婚外の子(愛人の子)を子供として認知する。
相続人の廃除法定相続人が遺言者に虐待等を行った場合に、相続させないように指定できる。
遺言執行者の指定遺言に書かれた内容を実行する遺言執行者の選任。

遺言書を作れない人とは

1.15歳未満の未成年者

未成年が契約などの法律行為を行う場合は法定代理人の同意が必要ですが満15歳以上であれば親権者などの法定代理人の同意がなくても遺言を作成する事ができます。

2.意思能力が失った高齢者

高齢者でも年齢による制限はありませんが、認知症など意志能力のなくなった高齢者の遺言は無効となります。

3.成年被後見人

成年被後見人は遺言書を作成する事はできません。 しかし物事を認識する能力を一時的に回復している時に医師2名の立ち会いと物事を認識する能力があった旨の証明書を添付する事により遺言書を作成する事ができると言われていますが、実際はそれに対応してくれる医師は少ないのが現状です。

遺言書の作成が必須な方・必要なケースとは?

子供がないおふたりさまの夫婦

子がない夫婦fの相続・遺言書が必須な方、必要なケース遺言書を作成せず伴侶が亡くなってしまった場合は、亡くなった方の親(又は祖父母)が存命の場合は2/3、親(又は祖父母)がなく、亡くなった方の兄弟がいる時は3/4が残された伴侶の相続財産となります。自分が亡くなった時に全財産が伴侶に相続されると勘違いされている方が結構いらっしゃいます。お子様がいない夫婦はお互いに遺言書を作成しておきましょう。

相続人がいないおひとりさまの方

独身で親や兄弟姉妹(甥姪)など相続人がいない場合は残された財産は国庫に帰属する事になります。生前お世話になった特定の方に遺贈する場合や団体に寄付する場合などは遺言書の作成が必須です。

家業の後継者を指定したい場合(事業承継)

事業の後継者を指定し、その方に事業の基盤である土地や工場及び株式などを譲渡したい場合。

ほとんどの相続財産が住んでいる土地、建物のみの場合

遺言書が必要なケース・財産が不動産のみの相続相続財産のほとんどが自宅などのように簡単に分けられない場合はトラブルになり易いです。 子供がいない夫婦であれば、兄弟姉妹と自宅を売却して分割するケースや息子や娘が複数の場合も自宅を売却して分割などとなるケースは多くみられます。裁判所で行われる遺産分割調停の約3/4が相続財産5000万以下の場合です。

二世帯住宅に住んでいる方

息子夫婦や娘夫婦と二世代住宅に住んでいる場合で子供が複数いる場合、他の兄弟から法定相続分を主張され、自宅を売却して財産分割せざる得ない状況になる事も少なくありません。

内縁関係の方

婚姻届けを出していない内縁関係の場合は相手が亡くなってしまった場合は相続人ではありませんので遺産を相続する事はできません。伴侶に財産を残す為には必ず遺言書の作成が必須です。

先妻の子や後妻の子がいる等親族関係が複雑な方

再婚をしており、先妻にも後妻に子供がいるが、法定相続分と異なる相続をしたい場合。

認知していない子を認知したい場合

遺言によって認知をする事ができ、法定相続人となります。認知した子(非嫡出子)の相続分は嫡出子の1/2となりますので、相続分以上に相続させたい場合も遺言で指定できます。

相続人以外の特定の方に遺贈したい場合

面倒をみてくれた息子の嫁、甥や姪又はお世話になった知人など法定相続人以外に方に財産を遺贈したい場合。

財産を相続させたくない相続人がいる場合

暴力を振るなど素行の悪い息子や離婚訴訟中の配偶者、事実上絶縁状況の養子など、相続人ではあるが自分の財産を相続させたくない場合。

行方不明の相続人がいる場合

行方不明の相続人を除外して他の相続人のみでなされた遺産分割協議は無効です。相続財産を分けたり、不動産を登記する事もできません。 遺産分割協議をする為には不在者の財産管理人の選任や失跡宣告(失跡してから7年)の申立てなど手続きや時間が掛かります。

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