遺言書のある相続
遺言書がある場合の相続の基本的な流れは下記の通りとなります。
- 相続の開始(遺言あり)
- 自筆証書遺言書及び秘密証書遺言書の場合は家庭裁判所にて検認が必要となりますので遺言書の提出と検認の請求を行う。(遺言書検認申立)
- 公正証書の場合は検認は必要ありません。
- 遺言執行者の専任
- 遺言書に従って遺産の分割を実行
- 納税(10ヶ月以内)
1)自筆証書遺言書が出てきた場合の注意点
- 遺言書の保管者または発見者は遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所に「遺言書検認申立書」と共に遺言書を提出します。封印してある場合は勝手に開封してはいけません。
- 遺言書の内容の確認は家庭裁判所で相続人(または代理人)の立会のもと行われます。
- 遺言書の提出を怠った場合や検認得ずに遺言の執行を行った場合は5万以下の過料に処せられます。
- 封印されていた遺言書を勝手に開けてしまった場合や封印されていない遺言書がでてきた場合も家庭裁判所での『検認』が必要となります。
- 家庭裁判所による遺言書の検認が行われた場合でも遺言書の正当性を判断されるわけではないので不服がある場合は裁判で争うことができます。
- 遺言書を発見した相続人が勝手に遺言書を書き換えたり、隠蔽などの不正行為があった場合は相続人としての地位を失い事となります。
2)遺言書が相続の手続きが終わった後に出てきた場合
分割協議による相続の手続きが終った後、何年も経ってから遺言書が発見された場合は遺言にそった形で相続をやり直しが必要です。 土地などを処分して遺産分割を行っている場合はその財産の評価で調整する方法が一般的です。
3)遺言の執行の方法
遺言執行者の役割は@財産目録の作成や交付 A遺贈、寄付行為、信託手続き、預金の引き出し、有価証券の交付請求、不動産の売却、債務の弁済、B相続人の認知、廃除、取り消しなどを行います。
相続人が『遺言執行者』になる事も可能ですが、相続人の利益が相反する場合はトラブルをさけ、確実に遺言を執行する為には利害関係のない『遺言執行者』を選任するのが一般的です。 遺言執行者は相続財産の管理や執行に必要な一切の権利、義務を有しています。 遺言に遺言執行者が指定されていなければ家庭裁判所に執行者選任の申し立てを行います。
4)遺言書とおりに相続をしたくない場合
遺言書が残されていた場合は遺言者の意向に沿って相続を実現しなければなりませんが相続者の全員の合意があれば別途遺産協議分割をする事は可能です。
5)遺言で法定相続人でも相続できない場合
遺言書により指定された相続分は法定相続より優先されますが、法定相続人には最低相続できる割合が決められております。 遺留分と呼ばれその割合は被相続人がどのような遺言を残そうとも侵害する事はできません。