遺留分減殺請求の方法
公正証書遺言がある場合は遺留分減殺請求は無効となるのでしょうか? 具体的な遺留分減殺請求の方法について詳しく解説します。
1)遺留分減殺請求とは
遺留分減殺請求とは公正証書遺言や自筆証書遺言により遺留分を侵害された相続人が生前贈与や相続・遺贈を受けた人に対して相続財産(不動産や金銭等)の返還を請求する事です。話し合いがうまく進まない場合は一年以内に内容証明郵便で意思表示をしておく必要があります。相手への内容証明の送付により消滅時効が中断します。
減殺請求の消滅時効は遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年、相続開始の時から10年以内に行使する必要があります。
2)遺留分請求の申し立ては誰がするの?
遺留分請求の申し立ては遺留分権利者が行います。遺留分権利者とは被相続人の兄弟姉妹を除く法定相続人で配偶者や直系卑属(子や孫)、直系尊属(父母、祖父母など)となります。
3)遺留分減殺請求の相手方は誰?
生前贈与、相続や遺贈により財産を受け取った人のうち、遺留分を超える遺産を受け取った人が遺留分減殺請求の相手方となります。
4)遺留分請求の具体例
父親が(母親は既に死亡)土地やマンション、現金等合わせて8億円を残して亡くなり、相続人は子供4人(長男、長女、次男、三男)ですが、遺言書には長男Aに5億円、次男Cに2億円、三男Dに1億円、長女Bにはなしと書かれていた場合、長女Bは誰に遺留分減殺請求をすればいいのでしょうか。
子供4人ですのでそれぞれの法定相続割合は1/4ですので遺留分割合はそれぞれ1/8となります。 遺留分減殺請求の相手方はそれぞれの遺留分割合(このケースは遺留分割合は4人とも1/8)を超える財産を遺贈された長男Aと次男Bとなり、1/8の1億円を遺贈された三男Dは遺留分減殺請求の対象外となります。 長女Bの遺留分減殺請求額は相続財産の1/8の1億円となり、長男Aと次男Cに遺贈された財産の割合に応じて請求する事となります。
○長男Aに対する請求額
5億円 ÷(長男A5億円+次男B2億円)=5/7
1億円 X 5/7 ≒ 7143万円
○次男Cに対する請求額
2億円 ÷(長男A5億円+次男C2億円)=2/7
1億円 X 2/7 ≒ 2857万円
○長女Bの遺留分減殺請求額=7143万+857万=1億円
5)遺留分減殺請求の行使期間(時効)
相続開始および遺留分を侵害する生前贈与や遺贈があったことを知った日から1年以内。 または相続開始から10年を経過すると請求権は消滅します。
6)遺留分の対象となる財産
相続人死亡時の財産(遺贈を含む)+ 生前贈与の価額 ー 債務の価額
*遺留分の基礎となる相続財産の算定は相続開始時を基準に行います。
相続財産に加算される贈与は下記の該当するものが対象となります。
@相続開始前1年以内に贈与された財産の価額
A相続開始前1年以上前に、遺留分権利者に損害を与えることを知ってなされた贈与。
7)遺留分減殺請求の方法と効果
遺留分の権利者が減殺の対象となる贈与・遺贈を受けた人に対して直接内容証明郵便等により、減殺請求の明確な意志表示を行う事により効力が生じます。
この意志表示が相手方に対して届いた時点で侵害された遺留分を限度として遺留分権利者の所有に属する事になり、贈与・遺贈を受けていた人は返還しなければなりません。 現物を返還できない場合は価額で弁償する事が可能です。
8)遺留分減殺請求の支払いに相手が応じない場合
減殺請求に対して相手が応じない場合は家庭裁判所に家事調停の申し立てをする事ができます。 調停も纏まらなかった場合は地方裁判所に遺留分に関する訴えを起こして解決する事となります。
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