遺言書と異なる遺産分割をしたいのですが?
【Q】
父が亡くなり、遺言書がでてきましたが分割に不都合があり、兄弟で話し合った結果、遺言書にかかれた内容とは異なる遺産分割をする事に全員で合意したのですが、遺言書を無視して遺産を分割する事は可能でしょうか?
【A】
1.相続人全員の合意があれば可能
遺言書があっても、相続人全員の同意があれば遺言書と異なる遺産分割協議は可能です。 ただし、遺言で相続人以外の方に遺贈があった場合は、受遺者の同意または放棄が必要です。
2.遺言執行者がいる場合
遺言によって遺言執行者が指定されて要る場合は相続人全員の合意と遺言執行者の同意が必要となります。
3.相続人以外に遺言で遺贈された場合
相続人以外の方に遺言によって遺贈された場合、遺贈には特定遺贈と包括遺贈があり、遺言と異なる遺産分割協議をするには簡単ではありません。
1)包括遺贈の場合
@包括遺贈の受遺者の遺産分割協議への参加の合意がある場合
包括遺贈とは割合で財産が指定された遺贈の事ですが、遺贈された方の合意があれば、指定された割合で受遺者が相続人と分割協議をする事が可能です。
A包括遺贈の受遺者の放棄する場合
遺贈された受遺者が遺贈を放棄をした場合は相続人全員の合意で分割協議ができます。
受遺者が包括遺贈の放棄をする場合は、受遺者が相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して遺贈放棄の申述書を提出することが必要です。
2)特定遺贈の場合
特定遺贈とは「現金500万円を姪に」などのように特定して財産が遺贈される事で、この場合は受遺者による遺贈の放棄があれば、相続人全員の合意での分割協議が可能です。特定遺贈の放棄は意思表示で済み、家庭裁判所への申立てが不要で期限もありません。